介護福祉職のかかわりとは

 人は、介護福祉サービスを利用する必要性が生じて、そのサービスを滞りなく受けることができたとしても、それだけで事足りて人生が完結するわけではありませんし、まして、そのサービスを受けるために生きているわけでもありません。
 ご本人には、常に創造的な人生目的があります。
 ご本人にとっての人生の生き方を本当に理解していけるかどうかは、ご本人とのこころの疎通の度合いによります。
 こころを通わし合えるほどに肯定的な理解も深まっていきます。
 それは、ご本人へのこころからの関心の高まりでもあり、それによって、理解力と支援力、そして人間力を高めるための自己研鑽に精進していこうとする意志が固まっていきます。
 それによって、より、ご本人にとっての人生の生き方への心情を察することができるようになったり、ご本人と環境との関係性を察することができるようになったりしていき、ご本人に関する豊かな理解に基づく、豊かな支援の可能性への手がかりを見いだせるようになっていくのです。
 介護福祉職は、介護福祉サービスの提供を通して、ご本人の人生の生き方の自由度に役立ち、ご本人の人生の幸福度に貢献していきます。
 その成果は、豊かな連携・協働のたまものです。
 社会福祉的であるほど、そのつながりは豊かです。
 尤も、介護福祉職のかかわりは、より人間的です。
 お互いにこころを通わし合える個別の人間関係を基盤としています。
 ご本人にとっての生きがい、ご本人にとっての人生の意味合い、それらをわきまえ、それらを配慮しつつ、それらとの繋がりを尊ぶことのできる日々のかかわりが必要なのです。
 介護福祉職のかかわりは、それらを豊かにしていくきっかけにもなり得ます。
 そして、ご本人にとっての人生の尊く掛け替えのない人生体験の時に直に居合わせた生き証人として、その大切な思い出を尊んでいく語り部ともなり得るのです。
 たとえ、ご本人が、その大切な思い出を記憶から引き出せなくなってしまっても、尊び続けていけるのです。


プロフィール

SAITO Shirohiko

Author:SAITO Shirohiko
齋藤代彦
2001年度より介護福祉士養成課程の専任教員として勤め始め、2024年度で通算24年目になります。東京都の身障者療護施設における介護福祉職としての実務を経て、2001年4月より千葉市に所在する短期大学の常勤専任講師としての11年、2012年4月より名古屋市に所在する専門学校の専任教員としての3年、2015年4月より岐阜県に所在する大学の常勤専任講師としての7年を経て、2022年4月より鹿児島市に所在する鹿児島国際大学の特任講師として3年目を迎えています。主な担当科目は介護福祉論です。

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