その1 高齢者が必要とされ社会に確固たる地位を占めるレギュラー型社会の構築に向けて

2015年(平成27年)7月31日

 わたしは1958年(昭和33年)に生まれた。第一次ベビーブームの団塊の世代は1947年(昭和22年),1948年(昭和23年),1949年(昭和24年)の3年間に生まれた人で、ちょうど今年の2015年(平成27年)に65歳になりきり、前期高齢者の仲間入りをした。わたしと団塊の世代とは10歳プラス・マイナス1歳の年齢差があるので, 2025年(平成37年)に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者の仲間入りをしていくのと共にわたしも65歳となり前期高齢者の仲間入りをしていくことになる。そこで,次の三つのニュース記事を手掛かりに高齢者福祉の主体として考えてみる。

 まず,2015年(平成27年)7月9日5時22分のNHK「福祉人材不足で規制緩和策検討へ 厚生労働省」という見出しのWeb記事で,「厚生労働省は、地方の福祉施設での人手不足に対応するため、1人の職員が保育士や介護福祉士など複数の資格を取得することを促進したり、同じ施設内で複数のサービスを提供したりできるようにするための規制緩和策を検討する方針です。厚生労働省は先に、介護職員が10年後の2025年に、全国でおよそ38万人不足する見通しなほか、保育士が2018年に全国でおよそ7万人足りなくなるとした推計をまとめており、今後、中山間地域などを中心に福祉施設の運営が厳しくなり、十分なサービスを提供できなくなるおそれがあるとしています。(後略)」と報道されたことについてである。わたしが高齢者の仲間入りをする年に介護福祉士はおろか介護職員が38万人不足するというのである。介護福祉職が魅力のある専門職であるならば優秀な人材が集うはずである。介護福祉職が魅力のある職場で活躍できたならばなお一層優秀な人材が集うはずである。量を求め質が低下したならば,現実とのギャップが深まって構造的な悪循環をきたし,量までもがままならなくなってしまう。超高齢社会であるからこそ,介護福祉に夢と希望をもてる世の中でなくてはならない。

 次に,2015年(平成27年)6月15日4時3分の朝日新聞DIGITAL(南宏美)「高齢者の身体機能「5~10歳若返った」老年学会声明」という見出しのWeb記事で,「65歳以上の高齢者の身体機能や健康レベルは10~20年前より上がっているとする研究結果が横浜市で開かれている日本老年学会で報告された。同学会は「現在の高齢者は10~20年前に比べて5~10歳は若返っていると想定される」などとする声明を発表した。(後略)」と報道されたことについてである。健康寿命が延びるということは喜ばしいことである。将来的に高齢者の定義を70歳以上に引き上げるべきかという議論も必要となるであろうが,高齢者が家庭はもとより社会からも求められる存在として若々しく活躍できる単なる余生ではない全人生を尊び生かすことのできる世の中の在り方が模索されていかなければならない。もっとも,人にはおよそ120歳という生物的な寿命が有ることから,そこまで健康寿命を延ばしきることは至難の業である。その意味では、その後に5~10年経てばやはり先延べした老化,不健康というリスクを負った老化に至るということである。これは避けては通れない人生の道のりである。

 そして、2015年(平成27年)7月2日17時39分の時事ドットコム「生活「苦しい」、過去最高62.4%=平均所得は1.5%減 ― 厚労省調査」という見出しのWeb記事で,「2013年の1世帯当たりの平均所得が前年比1.5%減(8万3000円減)の528万9000円となったことが2日、厚生労働省の国民生活基礎調査で分かった。生活が「苦しい」と感じている世帯の割合は14年7月時点で過去最高の62.4%に上がり、同省は、同年4月に消費税を8%に引き上げたことなどが影響していると分析している。(後略)」と報道されたことについてである。我が国自体にも1000兆円以上の借金があるという時代にあって,年金支給時期も60歳から65歳に引き延ばされ,未だに60歳定年のサラリーマンは,その間の生活を貯蓄の切り崩しでしのぐか,新たな職場を探して不安定な待遇で低賃金となったとしてもそれに甘んじて働くかなどしてしのがなくてはならないのが現実である。しかも,65歳となって長年掛け金を天引きされてきて得られる年金は、就労時の半額にも満たない額というのが現実である。バブル経済の終焉とともに風呂敷を広めていた個人の生計も中小零細企業の経営も2010年6月以来6年目に及ぶ融資と収入に関する貸し金の総量規制のあおりを受けて自転車操業の途が阻まれ、立ち至らなくなっている現実がある。

 これらのことから,わたしにとっての高齢期が,次のような高齢者福祉社会となることを希求する。①障害者雇用の促進事業にみるように,介護福祉サービスが必要になってもすなわち居宅生活の継続や復帰のみならず就労支援を視野に入れ,まして健康寿命の高齢者へは雇用促進事業を展開し,生涯循環型の就労環境が社会的に保障されていること。②高齢者の一部がゲストとして参加していれば満たされるような単なる参加型ではなく,高齢者が必要とされ社会に確固たる地位を占めるレギュラー型社会を構築すること。③高齢者が国力の一翼を担うべく,参議院議員は当選時に65歳以上であることを要件とし,衆議院議員は当選時に65歳未満であることを要件とする選挙制度に改正されること。








その2 介護福祉専門職としての医学的管理下における医療的ケアと生活支援

2016年(平成28年)8月22日


介護福祉士が1987年(昭和62年)に制定された「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づいて国家資格制度化され、平成と共に国家試験を重ね、2016年(平成28年)には、28回目を数えている。その試験問題で26年間に渡って使われ続けてきた専門職としての表記名が27回目から変更された。「介護職」から「介護福祉職」へと統一的に変更されたのでる。

社会福祉の増進に寄与する専門職
「社会福祉士及び介護福祉士法」第1条には社会福祉の増進に寄与することを目的としてこの法律を定める、と規定されている。だが同法は改正されて喀痰吸引等の医療的ケアについては医師の指示に基づき診療の補助を業とすることが可能とされた。それによって、介護福祉士の養成校においては、それが必須科目として追加され、医療職による医療従事者への教育として取り入れられたのである。

医学的管理の下における介護
介護療養型医療施設と介護老人保健施設は病院と同様で医学的管理の下における介護が提供されている。もっとも、居宅生活の支援や障害者支援施設及び介護老人福祉施設ではそれが原則となるわけではない。医学的管理の下における一時的な入院生活ではない普段の継続的な日常生活においては、療養上の世話という副次的な生活支援ではなく、サービス利用者本人による主体的な生き方の自由を保障する本来的な生活支援が求められる。介護福祉職は、介護福祉実践でのかかわりを通してその一人ひとりの本意に基づきご本人の意向に沿った支援に役立つべき福祉の専門職である。

介護福祉職という呼称に誇りをもって介護福祉サービス利用者一人ひとりの自立と尊厳の保持を支援しその権利の行使を保障していくためには生きがいの支援者にふさわしい専門性の基軸を身につけ涵養していくことが課題となる。