介護福祉職とは

介護福祉職とは、
多様な一人ひとりのご本人にとっての
掛け替えのない人生における
さまざまな時期と場所での生活にかかわり、
生きがいのある生き方への自由を保障する支援を通して、
社会福祉の増進に寄与する専門職です。

介護福祉職がかかわる方々は、
重症心身障害児・者
知的障害児・者
精神障害児・者
身体障害児・者
要養護児・者
そのご家族・ご友人・親しい人、ボランティア、地域住民、
協働・連携する多職種・多機関の担当者
など、個々のご本人を主体としつつも多様です。


介護福祉職の勤務先は、
医療型障害児入所施設
療養介護施設
介護医療院
介護老人保健施設
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
福祉型障害児入所施設
障害者支援施設
労災特別介護施設(ケアプラザ)
救護施設
認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
特定施設入所者生活介護(有料老人ホーム)
軽費老人ホーム(ケアハウス)
養護老人ホーム
通所介護施設(デイサービス)
通所リハビリテーション施設(デイケア)
生活介護事業所(通所型生活活動支援サービス)
訪問入浴介護事業所
訪問介護事業所(ホームヘルプサービス)
小規模多機能型居宅介護事業所
就労継続支援B型(非雇用型)事業所
など、多種多様です。



介護福祉哲学とは

 介護福祉哲学とは、人間社会が形成しているあらゆるしがらみを、一人ひとりが人間愛と人道に基づく人倫の温もりを持ち合って融解し、福祉的支援を要する個々人を中心に連携・協働することにより、すべての人が人間及び個人としての尊厳を保持して共存共栄していくことのできる介護福祉社会の形成と発展へ向けて介護福祉の本質を学際的に考察する学問です。


 介護福祉職にあっては、この介護福祉哲学に基づく各個なりの介護福祉観の確立を要します。
 介護福祉職も、他の専門職が独自な哲学を有し、それに立脚しいているのと同様に、介護福祉職としての哲学を共有していることによって、確固とした専門的見地をもって、その専門性を保持しつつ発展させていくことができるようになります。


介護福祉職のかかわりとは

 人は、介護福祉サービスを利用する必要性が生じて、そのサービスを滞りなく受けることができたとしても、それだけで事足りて人生が完結するわけではありませんし、まして、そのサービスを受けるために生きているわけでもありません。
 ご本人には、常に創造的な人生目的があります。
 ご本人にとっての人生の生き方を本当に理解していけるかどうかは、ご本人とのこころの疎通の度合いによります。
 こころを通わし合えるほどに肯定的な理解も深まっていきます。
 それは、ご本人へのこころからの関心の高まりでもあり、それによって、理解力と支援力、そして人間力を高めるための自己研鑽に精進していこうとする意志が固まっていきます。
 それによって、より、ご本人にとっての人生の生き方への心情を察することができるようになったり、ご本人と環境との関係性を察することができるようになったりしていき、ご本人に関する豊かな理解に基づく、豊かな支援の可能性への手がかりを見いだせるようになっていくのです。
 介護福祉職は、介護福祉サービスの提供を通して、ご本人の人生の生き方の自由度に役立ち、ご本人の人生の幸福度に貢献していきます。
 その成果は、豊かな連携・協働のたまものです。
 社会福祉的であるほど、そのつながりは豊かです。
 尤も、介護福祉職のかかわりは、より人間的です。
 お互いにこころを通わし合える個別の人間関係を基盤としています。
 ご本人にとっての生きがい、ご本人にとっての人生の意味合い、それらをわきまえ、それらを配慮しつつ、それらとの繋がりを尊ぶことのできる日々のかかわりが必要なのです。
 介護福祉職のかかわりは、それらを豊かにしていくきっかけにもなり得ます。
 そして、ご本人にとっての人生の尊く掛け替えのない人生体験の時に直に居合わせた生き証人として、その大切な思い出を尊んでいく語り部ともなり得るのです。
 たとえ、ご本人が、その大切な思い出を記憶から引き出せなくなってしまっても、尊び続けていけるのです。


ICF概念図の構成要素を介護福祉実践においてアセスメントツールとする場合の課題

ICF概念図の構成要素を介護福祉実践においてアセスメントツールとする場合の課題

 ICF概念図の構成要素は、客観的次元である。それを、介護福祉の実践におけるアセスメントツールとする場合は、主観的次元を加えなければならない。それは、個人の生き方の全容が、その一人ひとりなりの主観・主体に根付いているからである。例えば、同じ組織で働いているが普段は部署が異なるためにあまり顔を合わせることのない同僚が、各部署から選抜されて一緒に出張することになった当日の朝、「すまないけど、今回の出張ではなるべく君と顔を合わせないようにするけど、悪く思わないでね。実は、出張先で君と大喧嘩をしている夢を見たものだから。それが正夢になるといやだから」と言われ、「そんなことあるわけないでしょう」と笑顔で応じて見た同僚の目が、思い詰めたように真剣そのものだったので驚いた。といった場合、その同僚の夢の世界と現実の世界とは、まさに相互作用しているのだ。現実の世界で体験し、予定されていることが、その同僚の夢の世界に影響を与え、それと共に、その同僚の夢の世界で体験したことが、現実世界の生き方に影響を及ぼしているのだ。しかも、それは、他者との関係性にも直接的に影響を及ぼし、自らの夢の世界での体験が、他者との現実の関係性にまでも影響を及ぼしているのだ。もしも、同僚が事前に取る態度の故を明かして了解を取っておいてくれなかったなら、その相手からすれば、現実世界での良好な関係性からは、その原因を適切にひもとくことが出来ずに、ただただ困惑することになったことだろう。尤も、人間は、そもそも、胸の内を明かしきっているわけではない。しかも、その主観的次元をも肯定的に理解していくためには、こころが豊かに通じ合っている必要がある。そうでなければ、ご本人は明かそうとはしてくれないし、その手掛かりの一端を垣間見させてくれたとしてもその意味も全容との繋がりもわからない。主観的次元のアセスメントには、前段を要するのである。

介護福祉実践に必要な自己研鑽とは

介護福祉実践に必要な自己研鑽とは

 介護福祉実践とは、介護福祉に関する権利を有する有権者が、介護福祉サービスを利用して、自らの生き方を大切にしていくために、その権利を遺憾なく行使していけることを、毎日の生活を通して共に生き、支援していく介護福祉の専門職による実践である。そのうえでは、一人ひとりのご本人とかかわらせていただけることに感謝し、その貴重なかかわりで知り得たことを、次のかかわりへと生かしていけることが必要である。かかわりにも程度が有り、それは、関係性にもよる。より豊かなかかわりをしていくためには、毎回のかかわりを通して得られたご本人への理解の手掛かりを、介護福祉職は自己研鑽によって、ひもとき、豊かに深めていけなければならない。それによって、ご本人とのかかわりは、豊かに深まり、育まれ、互いの親和性が高まっていく。ご本人が示してくれた手掛かりは、エピソードやキーワードかも知れない。それならば、そのエピソードやキーワードに関して、ご本人との関連性を意識しつつ、自らも調べて、その理解を深めたり、介護福祉職自身の人生体験との関連性をも勘案したりして、ご本人にとってのそのキーワードの意味合いを大切にするとともに、その人生とのつながりを豊かに見いだしていくのである。また、ご本人が示してくれた手掛かりは、表情や態度であるかもしれないし、服装や持ち物、あるいは、大切に想っている人、景色や映像、絵画や音楽かも知れない。それらを大切に共有し、それらと誠実に呼応していくためには、介護福祉職自身の人間性を豊かにし、見識を高め、多様な価値と視座をもって洞察できるように、しかも、わからないことの方が遥かに多いことへの畏敬の念を欠くことなく、ご本人の人生を尊び、爽やかに生き合っていけるための自己研鑽が、その人生の道のりと共に必要となる。それは、ご本人とその生き方に関する全容をいかに肯定的に理解することが出来るかということへの自己研鑽である。

プロフィール

SAITO Shirohiko

Author:SAITO Shirohiko
齋藤代彦
2001年度より介護福祉士養成課程の専任教員として勤め始め、2024年度で通算24年目になります。東京都の身障者療護施設における介護福祉職としての実務を経て、2001年4月より千葉市に所在する短期大学の常勤専任講師としての11年、2012年4月より名古屋市に所在する専門学校の専任教員としての3年、2015年4月より岐阜県に所在する大学の常勤専任講師としての7年を経て、2022年4月より鹿児島市に所在する鹿児島国際大学の特任講師として3年目を迎えています。主な担当科目は介護福祉論です。

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