2014年(平成26年)8月11日

 介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法の第1条において、「社会福祉の増進に寄与する」ことを目的として創設された専門職です。 
 ところが、同法を改正し、介護福祉士ではない人でも都道府県知事が認める医療的ケア研修を修了すれば行えるとされる医療的ケアを、その養成カリキュラムの中にあえて必須として組み入れようとする方向性は、介護福祉士を「診療の補助を業とする」医療の専門職として位置づけるものです。 
 介護福祉実践は、一人ひとりならではの人生を尊び、その生き方と本意の肯定的な理解に基づき、ご意向に沿ったかかわりを通して、こころ豊かな暮らしの安定に資すべき支援です。 
 アイデンティティーのダブルスタンダード化によって、福祉を目的として介護福祉学的に自由を支援しようとする専門性の基軸が、医療を目的として医学的に管理しようとする専門性に取って代わられかねないと危惧します。
 国は平成26年度中のとりまとめを目指して、国家試験義務化や医療的ケア科目の必須化などを含めた介護福祉士養成にかかわる全般的な見直しに取り組んでいるとのことです。
 医療的ケア授業に向けて養成校が既に準備を整えているとしても、介護技術講習会のように、養成校において、本来のカリキュラムとは切り離した、「任意な医療的ケア研修の開催」という形での実施にすべきです。

 また、公益社団法人 日本介護福祉士養成施設協会の7月7日付の事務連絡「今後の介護福祉士養成教育と養成施設の在り方に関する検討 平成25年度中間まとめの送付について」によると、介護福祉士に1年上乗せ(初めからだと3年)の養成課程を新設し、管理介護福祉士を創設すべしとのことですが、介護福祉士は「管理」にはなじみません。
 都道府県知事から免許を受ける栄養士の上乗せ資格として管理栄養士という国家資格こそあるものの、介護福祉士はそもそもが国家資格です。
 わたしは介護福祉士を誇りとし、後進の養成に夢を託してきました。
 たとえ長い年月を要したとしても、介護福祉士そのものの質をこそ高めるべきではないでしょうか。

 もっとも、とりわけ居宅において、ご本人から「素晴らしいので大切にしたい人」と認められる質の高いホームヘルパーとは、未だに、その専門職としての教育の成果に拠るところよりも、むしろ、その一人ひとりが人生を通じて培ってきた素養と人格に拠るところの方が大きいようです。
 一人ひとりにとっての掛け替えのない人生を尊びその生き方を支援するには、資格にとらわれず、有為な人材が集い活躍できる環境も重要です。